過去生記憶の意義

 「先生、いくつも過去生を見てたら、死ぬのが怖くなく なりました」
17年前、前世療法を受けていたパニック発作の患者さんが、このように話してくれました。それ以後、この 患者さんのパニック発作は服薬なしで完治しました。
この時、気づきました。
すべての不安・恐怖・パニックの根本原因は「死ぬのが怖い」だ!
その前世療法とは、どんなものなのでしょう・・・
40分ほどの催眠誘導の後に・・・
「あなたのパニックの原因となった過去生へ戻ります。 何が見えますか?」
「その日、私は子供たちを連れて海岸へ行きました。とても良い天気・・・子供たちは浜辺ではしゃいでいます。 今日の砂浜は大賑わい・・・みんな思い思いにくつろいでいます。もうすぐお昼・・・私はサンドイッチを取りに車まで戻って・・・駐車場もいっぱいです。 「誰かエンジンを切り忘れているわ。教えてあげなくちゃ」
でも、エンジン音はどんどん大きくなってきます。 その時です。浜辺で誰かが叫びました。 「ジャップだ!!!」
私はサンドイッチの入ったカゴを胸に抱いたまま、海の上を見上げました。
黒い飛行機が一直線にこちらに向かって来ます。
どんどん近づいて来ます。
私は足がすくんで動けません。
浜辺はパニックになっていて、子供たちがどこにいるのかもわかりません。
甲高いエンジン音が耳を引き裂きます。
飛行機のパイロットの顔がはっきり見 えます。
この顔は忘れません。
そして、飛行機が機銃掃射を始め・・・私の人生は終わりました」
この時、子供たちが死んで、この人はそのまま生き延びましたが、ずっと「子供が死んだのは私のせいだ」と悔やみ続けました。
この患者さんは、エンジン音でパニックになるのを治そうと前世療法を受けられました。
そしてこの方の男性恐怖症もこの過去生に繋がっていたことがわかりました。
このように、病気や人生の挫折、さまざまなトラブルの原因がわかる過去生は、1986年にブライアン・L・ ワイス博士が"Life Between Life"で紹介した退行催眠の手法でも簡単に見ることができます。
「私は金髪・青い目・背の高い男です。高い城壁のある町の居酒屋で働いています。
ある時、市場でウェーブした茶色の髪が美しい娘に恋をしました。
彼女は真っ赤なトマトと太いキュウリを売っています。
私たちは親しくなり、結婚しました。
やがて茶色の目をした女の子が生まれました。
私たちは幸せでしたが・・・となりの国が攻めてきました。
男たちは城に集められ、武器を持たされました。
別れ際に彼女は言いました。
「必ず帰ってきて!」
私は戦いに行きたくなかった。
王様に「戦争に行 きたくない」と言いたかったけど、言えなかった。
そして気がつけば、戦場にいました。
大きな敵が襲いかかってきます。
私は怖くて動けません。
真っ赤な目をした敵が槍を突き立ててきます・・・私は死にました」
「死んだ時、何を思いましたか?」
「行きたくなかった。家族と一緒に暮らしたかった」
「どんどん上へあがっていって・・・どんどん、どんどん上がっていって・・・その高い高いところからその人生を見下ろしてみて、何を思いますか?」
「勇気がなかった。もうちょっと勇気があれば・・・」
「その人生の一番大きな節目が膨らんで見えてきますよ。 一番大きな節目はどんな場面でしたか?」
「武器を渡されたけど、迷っています」
「その節目からさっきとは別の人生が見えてきます。どんな人生でしたか?」
「戦いに行かずに家に帰っています。王様に許してもらえました。家族一緒にそのまま暮らします」
「戦争はどうなりましたか?」
「戦争は・・・あっ、起こりませんでした。和睦したようです。ずっと幸せに暮らしました」
「その節目のところに戻って・・・何がその節目を分けたのでしょうか?」
「戦争に行きたくないから、家族と一緒に暮らしたいか ら、王様のところへ直訴に行きました。王様は話を聞いてくれました。そして、許してくれました」
「その王様は今のあなたが知っている人ですか?」
「今の父です」
この前世療法のテーマは「父が嫌いな理由」でした。
前世療法では過去生、つまり、ある人が生まれて、生きて、死んで、魂・意識体となって、光(神さま・サム シンググレート・守護霊・宇宙意識など)のところへ戻 るまでの人生を客観的に見ます。
この際、過去生と今の自分との間にゲシュタルトが形成されるために、死の恐怖におびえることなく容易に死を体験することができます。
これまでの四千症例の中で、過去生での死の体験時にパニックに陥った方は皆無です。
前世療法は、死ぬことを体験することで人間の本能的・社会的・利己的な究極の恐怖である死の恐怖から抜け出せる療法だ、と言えます。

 逆に、過去生と死の体験が悪用される危険性も前世療法ははらんでいます。
「お前は過去生で罪を犯した。だから今生ではその罪を償わなければならない」といった因果応報を誇張した呪縛や「今のうちにもっとお布施をして功徳しなければ、死後、あなたの魂はさまよい、来世は地獄のような人生になりますよ」といった輪廻転生を悪用した呪縛を与えることも出来るからです。
ですから、前世療法のガイドは注意深く選ぶ必要があります。
前世療法は、生まれ変わりを体験しているとも言えます。
何度も生まれ変わりを体験していると、因果応報と輪廻転生に関わるさまざまな呪縛から解放されていきます。
だからと言って、その方の宗教観が自己否定に陥ることはありません。
その宗教の教祖の想いと根本教義をより純粋に理解できるようになれるのです。
死と死後を体験することは、宗教的なイニシエーショ ンや秘儀として秘匿されてきました。
このため庶民は、死は苦しみを伴い、死後を極楽と夢見たり、絶望や虚無や苦悩に満ちた地獄と恐れるしかありませんでした。
前世療法を受けると、自分なりの死生観を思い描けるようになります。
四千例中、ただの一例も苦悩にもがき苦しみながら死を通り抜けた方はいませんでした。
「死ぬのってとってもつらいと思ってたけど、こんなにスッと逝ってしまうなんて、びっくりしました」
どんなに悲惨な過去生、ひどい悪党の過去生でも、死の瞬間と死後のプロセスは淡々と過ぎていきます。
その淡々さの中で、死と死後の世界では誰もが神の目と心を持って人生を振り返ることができます。
失敗だらけの人生、悪事ばかりを働いた人生が貴重な体験だったと納得できます。
貴族の裕福極楽な人生に「やるべきことをしなかった」と気づかされます。
幼くして死んだ人生にも大きな意味があったことに驚かされます。
前世療法を介して、「今を生きる」ことが連綿と続く生と死の中で最も大切なことだ、「今を楽しむ」ために生まれてきたんだと気づいた方々から、自分の生きがいがわかった、生きていく自信を得られた、という声が数多く寄せられています。
このように前世療法の効果で特記すべきことは、輪廻転生や因果応報のあまりにひどい呪縛から解き放たれることで、今の自分は今を自由に生きてよいという自己容認を手に入れられることだ、と思います。
死とはこういうものだ、死後はこんなプロセスを進むんだな、と自分なりにイメージできたからこそ、死に惑わされることなく、今の自分を生きることができようになるのです。
もちろん、死後のイメージに「生まれ変わり」や宗教観を持つことも自由に出来ます。
死と死後から自由になると、 私はあなた、あの人は私、みんなひとつなのだから、というワンネスに至る人も多くいます。
前世療法は宗教を極めなければ得られなかったワンネスという境地に、誰でも簡単に至ることができるツールだとも言えます。
「そこから上を向くと、何が見えますか?」
「光です。大きくて眩しい光です」
「白い雲が広がっています。雲の上に白い人がいます。 笑顔で迎えてくれています」
「宇宙です。星々が見えます。一番輝いている星に吸い込まれていきます」
前世療法の後半では、過去生の死を橋渡しにして魂・ 意識体となり、光(神さま・サムシンググレート・守護 霊・宇宙意識など)と出会います。この際、顕在意識や常識が激しく抵抗する人もいますが、すんなりと光と繋 がる人が多いです。
光との対話は、事前に患者さんから伺っておいた質問を光と繋がっている患者さんに向かって尋ねます。
光からの答えは患者さんの意識の中に返ってきます。
その答えに対して更に質問を続けていくプラトンの問答法を用いて対話は進みます。
例えば、 「私の天職は何ですか?」
「奉仕しなさい」
「どうしたら奉仕できますか?」
「愛しなさい」
「どうしたら愛せますか?」
「あるがままを認めなさい」
「どうしたら認めることができますか?」
「許しなさい」
「どうしたら許せますか?」
「素直に信じなさい」
「どうしたら信じられますか?」
「自分を愛しなさい」
光と繋がっている患者さん全員に尋ねた質問もありま す。
「私の今生はここまでこれで順調なのですか?」
ほとんどが「順調です」と答えます。
「私の今生は誰が決めているのですか?」
「あなた自身です」が8/9 「あなたと私(光)です」 が1/9です。
「私はこれまで何回生まれ変わりましたか?」の答えは 一ケタ代から数万回までバラバラです。
「私はまず何から始めたらいいのですか?」
さまざまな答えがある中でダントツなのが「部屋の掃除」と「早寝早起き」でした。
もちろんプライベートな質問にもちゃんと答えてくれます。
「お墓を移した方がいいですか?」
「どこに開店 したらいいですか?」
「子供は授かりますか?」等々で す。
女性が必ず? 尋ねる質問もあります。
「私は結婚できますか?」
癌や難病の患者さんたちの質問には思わず力が入ります。
「この病気の原因は何ですか?」
「この病気の意味は何ですか?  私はこの病気から何を学んでいるのですか?」
「どうしたらこの病気は治りますか?  治すためにまず何から始めたらいいのですか?」
患者さんの事前の問診になくても
「この病気を治すための食べ物は何ですか?」
「治すための色は?」
「治すための音楽は?」
「治すための日課は?」
「治すための場所は?」
「治すための言葉(呪文・マントラ・真言な ど)は?」なども尋ねていきます。
そして「この病気が治った未来生」も光に見せてもらいます。
今、目の前にいる患者さんは生きています。
どんな病気でも生きている限りは今が人生の大節目なのだ、 と私は思っています。
光は「この病気が治った未来生」 を、ほぼ全員の患者さんたちに簡単に見せてくれます。
どの未来生も笑顔です。
病気が治った人もいるし、病気とうまくつきあっている人もいます。
そんな笑顔の未来の自分から今の自分にメッセージをもらいます。
そこには迫り来る死の恐怖も去りゆく生への執着もありません。
キューブラー・ロスの死の受容もありません。
あるのは 「今を生きる喜びと感謝」の美しい気持ちだけです。
今日も生きていた、うれしい。
今日もあなたに会えた、 ありがとう。
今日はこれができた、うれしい。
今日もみ んなが助けてくれた、ありがとう。
病気の患者さんたちをこの境地にまでお連れできることも前世療法の大きな意義のひとつだと思います。
オランダで開催された第1回国際退行催眠療法コング レスで私の前世療法をデモンストレーションしたところ、 「日本人だから出来る療法ですね。欧米ではキリスト教 が人々の信条のベースにあるので、光(神)と一体化して対話することは受け入れがたいのです」と言われました。
日本人のゆるい宗教観、八百万の神々と自然崇拝が日々の生活に根ざしている私たちだからこそ、あまり抵抗なく光(神)との対話を楽しむことができるのです。
だからこそ、世界中で続いてきた宗教対立や戦争に関しても「あなたの教祖さんはこう言ってはるよ。あなたの 教祖さんもこう言ってはるわ。ほら、どっちも同じやんか。あなたたちの教祖さんたちは仲良しやのにねぇ」と 言える知恵の国民、賢者の国家にステップアップできる素養を私たちは持っています。
世界中で医者が前世療法を行えるのは日本とオランダ だけだそうです。
いつかこの療法がみなさんを死の呪縛から解放し、病気を治し、世界中の宗教対立を融和して、過去も今も未来も笑顔でいっぱいになれる日が来ることを信じて、これからも前世療法を続けていきます。